冬はつとめて ~制作技法 その10~

前回の続きより。





【下地処理/ウレタン皮膜形成】

前回までに粘土表面にアクリルメディウムを塗布、そして研磨した後、さらにその上からウレタン皮膜処理を行う。使う材料は以下の通り。

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二液性のウレタン樹脂塗料。
一般的に家具など木工芸に使用される透明樹脂塗料。

石塑の表面に使用する例はあまり聞かないのだけれど、硬く耐水・耐候性に優れた皮膜を形成するため、粘土の劣化防止にも有効かと。

筆塗りで何層も塗り重ね、できるだけ厚い皮膜を作る。その後研磨処理をし表面を滑らかに仕上げて終了。






【下地処理/サーフェイサー】

サーフェイサー(プライマー塗料)を塗布する。

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こちらは模型用の下地塗料。
表面の小キズの埋め戻しおよび上塗り塗料の密着性UPを目的とした塗料。

筆塗りで大まかに塗布した後、今までより細かい目のスポンジヤスリで研磨、小キズやヤスリあとをほぼ消したら最後に全体にエアブラシで吹き付けて仕上げる。

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ここまでの工程を終えたらようやく下地処理を完了する。






【彩色/下層塗り(補色)】

そしてここから彩色に移行。基本的にほぼエアブラシで仕上げていく。

使う材料(塗料)はこちら。

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模型用のアクリルラッカー塗料。
使用する色は原色4種(シアン、マゼンダ、イエロー、グリーン)と黒、白のみ。
これらを調色し、必要な色を作り出す。(銭湯の壁画や義肢の彩色も同じ要領だとか)

彩色の技法は油彩やアクリルなどの絵画技法を適宜応用。



まず最初に下層塗り(補色)。

肌色の補色であるグリーン系(油彩ならテールベルトあたりに相当)の色を全体に吹き付ける。

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まず補色を置くことで、完成時の色味に深みが得られ、立体感が際立つのだとか。(昔、美術の先生が云っていたような)





【彩色/上層塗り(固有色)】

次に上塗り(固有色)。

肌の肌理や透け感を出すため、少しずつ色味を変えた肌色を何層にも重ねて吹いていく。
また、色素の沈着や紅潮などポイントごとに赤味を差すと色面構成に面白味が増す。

ただしあまりにも塗り重ねを繰り返したり、ポイントアクセントを付け過ぎると、厚ぼったくどぎつい色調になるので加減に注意が必要。



そして上塗りを終えたのがこちら。

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この後、仕上げとして肌の質感調整(ツヤの加減)を行う。

アクリル塗料は基本的にツヤがあり過ぎて、そのままでは肌感が出ないので。
(これはこれで濡れた感じがしてまさに艶っぽいのだけれど)

そこでツヤ消し処理をして、肌の質感を整える。

使う材料は下地処理にも用いたウレタン樹脂塗料。
今回は元々塗料にツヤ消し剤が添加されているタイプなので、そのまま使えば塗装の表面保護と質感調整が同時に可能。

ツヤ消し剤の添加されていない場合は別途用意が必要。
適宜塗料に添加してツヤの調節を行う。

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画像右端の小ビンがツヤ消し剤(フラットベース)。
好みのツヤになるよう量を調節しながら添加して使用する。





そして彩色を完了したのがこちら。

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眼や唇など潤んだ箇所にはポイントとしてクリヤー(グロス)を処理。





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爪にもグロスを置いていく。
また爪の先や半月(根本)にもアクセントの白味をつけるとらしく見えるので。





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静脈もうるさくならないよう、加減をしながら描き込んでいく。
透け感を演出するため、1層目の肌色の上に描いた後、2層目以降を重ねていくとそれらしくなる。






ここまで完了したら、各部の球体受け座に革貼りをする。

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関節球の保護(擦れキズ防止)と姿勢の保持(すべり止め)を目的として、球体受け座に牛革を貼る。

画像下端のような形状(牛革を帯状にカットした後切れ込みを入れたもの)を用意し、受け座部分に木工用ボンドを塗った表面に貼り付けていく。




このあと、頭部への髪貼りと各パーツの繋ぎ込みを行えば、いよいよ素体の完成。

















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